2025年8月20日水曜日

円滑な事業承継のために!生命保険を活用した自社株買取のポイント

事業承継のイメージ画像


社長から後継者への事業承継は、企業にとって非常に重要なプロセスです。しかし、その過程で思わぬ課題に直面することが少なくありません。特に、自社株の評価額が高額になり、後継者が相続税を支払えないという問題は、多くの企業が抱える共通の悩みです。


1. 事業承継の壁:高額な相続税にどう備えるか?

後継者が多額の相続税を納付できない場合、円滑な事業承継は困難になります。この課題を解決するための一つの有効な手段が、「自社株買取」です。

自社株買取とは? 相続時の後継者の納税資金を確保する目的で、法人が一時的に自社株を買い取る方法を指します。これにより、後継者は売却代金を納税資金に充てることができます。

しかし、何の対策も講じていない場合、以下のような潜在的リスクがあります。

後継者の潜在リスク:

    ◦ 自社株評価が高額な場合、相続税を支払えない可能性がある。

    ◦ 社長が高齢の場合、買取資金準備のための時間的余裕がない。

    ◦ いつ相続が発生し、買取資金(現金)が必要になるか予測が難しい。

法人の潜在リスク:

    ◦ 自社株買取のための資金が手元にない。

    ◦ 資金捻出のために土地などの資産売却を余儀なくされる可能性がある。

これらの状況に陥ると、円滑な事業承継は困難になってしまうのです。


2. 解決策:生命保険を戦略的に活用する

このような事業承継の課題に対し、生命保険の活用は、自社株買取資金を効果的に準備できる優れた方法となります。社長が在任中に生命保険に加入しておくことで、以下のような大きなメリットが得られます。

契約時からすぐに買取資金の準備を開始できる

相続発生と同時に、必要な額の現金を確実に用意できる

これにより、「いつ相続が発生し、多額の現金が必要になるか分からない」という事業承継の大きな不確実性に対し、明確な解決策を提供できるのです。


3. 生命保険を活用した自社株買取の仕組み

具体的な流れは以下の通りです。

1. 生命保険の加入: 法人が契約者および保険金受取人となり、社長を被保険者とする生命保険に加入します。保険期間は、資金に余裕がない場合は短期で柔軟に見直し可能な商品を選択し、余裕がある場合は社長の勇退予定時期までカバーできるよう設定します。

2. 自社株の相続: 社長(父)から後継者(長男)へ自社株が相続されます。

3. 保険金の支払い: 社長の死亡により、法人に保険金が支払われます。

4. 自社株の売却: 後継者は相続した自社株を法人へ売却します。

5. 買取代金の支払い: 法人は受け取った保険金を原資として、後継者に自社株の買取代金を支払います。

6. 相続税の支払い: 後継者は自社株売却代金で相続税を支払います。

この仕組みにより、後継者は相続税の納税資金を確保し、法人は円滑な事業承継を実現することができます。


4. 目的と期間に応じた保険種類の選択

生命保険には様々な種類があり、企業のニーズに応じて選択できます。

保険料負担を抑えつつ、短期で資金を準備したい場合:

    ◦ 定期保険(例:10年満了)が検討されます。これは、保険料負担を抑えたい場合に有効な選択肢です。例えば、60歳男性・保険金額1億円の場合、年払保険料は1,130,400円となります。解約返戻金は保険期間の経過とともに積み立てられますが、満了時にはなくなり、ほとんどの場合、払込保険料累計額を下回ります。

保険料負担を抑えながら、長期の保障をカバーしたい場合(退職金対策も含む):

    ◦ 無解約返戻金型定期保険(例:90歳満了)が有効です。同条件で年払保険料は2,338,800円となります。このタイプは、保険期間を通して解約返戻金がない点が特徴です。

ニーズの変化や資金的な余裕に応じて、他の保険種類へ変更することも可能な商品もあります。


5. 円滑な事業承継のために今からできること

生命保険を活用した自社株買取プランは、社長が元気なうちから計画的に資金を準備し、後継者が安心して事業を引き継げる環境を整えるための強力なツールです。

ご検討の際には、「設計書」や「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり・約款」を必ずご確認いただくとともに、具体的な経理処理や税務の取り扱いについては、税理士などの専門家や所轄税務署にご相談ください。法令や税制は将来的に変更される可能性がある点にもご留意ください。


 

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