「非課税」という言葉は、私たちにとって魅力的に響く響きを持つ言葉です。税金がかからないというのは嬉しいものですよね。世の中には、いくつかの非課税になるものがありますが、大きく分けて「生前に活用するもの」と「万一のときに家族が活用するもの」があります。
生前に活用する非課税制度としては、iDeCo(個人型確定拠出年金)の運用益や、NISA(少額投資非課税制度)の配当金・分配金、譲渡益、さらには暦年贈与(年間110万円まで)などが挙げられます。これらはご自身が生きているうちに恩恵を享受できるものですが、実はその数はそれほど多くありません。
一方、万一のときに家族が受け取れる非課税の枠は、見落とされがちながらも非常に重要です。これらは「家族のため」に用意されており、すべてを有効活用できていないケースも少なくないようです。
家族が受け取る際に非課税となるのは、主に以下の3つの「別枠」です。これらはそれぞれ独立しており、同時に活用することが可能です。
① 生命保険金 個人で加入する生命保険の死亡保険金は、「500万円 × 法定相続人の数」まで相続税が非課税になります。例えば、法定相続人が3人であれば、1,500万円まで非課税で受け取れる計算です。ただし、被相続人(亡くなった方)が保険料負担者であるなどの条件があります。
② 死亡退職金 会社から支払われる死亡退職金も、生命保険金と同様に「500万円 × 法定相続人の数」まで相続税が非課税です。こちらも法定相続人3人の場合、1,500万円まで非課税となります。
③ 弔慰金 家族が受け取る弔慰金も非課税の対象です。非課税となる金額は、死亡の状況によって異なります。
◦ 業務上の死亡の場合:最終給与月額の36ヶ月分。
◦ 業務外の死亡の場合:最終給与月額の6ヶ月分。
会社で明確に社内規程を定めていることが必要です。例えば、最終給与が月額50万円で業務上の死亡の場合、1,800万円が非課税となります。
これら3つの非課税枠は「別枠」として扱われるため、個人の生命保険と会社の制度の両方で同時に活用できる点が大きな特徴です。実際に、これらすべての非課税枠を活用しきれていないケースも存在するといわれています。
例えば、法定相続人3名で最終給与月額50万円の場合、これらの非課税枠を最大限に活用すると、合計で4,800万円もの保障を非課税で準備できる可能性があります。これは、少ない負担で大きな保障を準備できる有効な手段となり得ます。
保障を検討する際は、これらの非課税枠を念頭に置くことで、より効率的で手厚い準備が可能になります。ご自身の状況に合わせて、これらの非課税枠の活用も検討してみてはいかがでしょうか。
※本記事に記載されている法令や制度は、現在のものです。将来的に内容が変更となる場合がありますのでご注意ください。税務の取り扱いについては、税理士などの専門家、または所轄税務署にご相談ください。
0 件のコメント:
コメントを投稿